ペット・セメタリー

suoahakaa2005-07-29

せっかくだからレヴューでも書くか 当然のようにネタバレ有り


ティーブキング原作脚本のホラー
監督は知らない人
ティーブンキングの作品は映画「シャイニング」と小説「痩せ行く男」にしか触れたことがなかった
どちらも仏血義理で面白かったのでこのペットセメタリーにも大いなる期待を寄せる
ホラーと一口に言ってもゾンビがわらわら出てくるゾンビ・ホラー
圧倒的な殺人鬼が殺死まくって全編血が噴出しっぱなしのスプラッター・ホラー
あたりは一般に使われる言葉だろう
あと心霊ホラーとかか リングとか呪怨あたりかのう ジャパニーズホラーに多いように思う
その他諸々、細分化されるんだろうがジャンル分けなんてくだらないことだ
そもそもホラー映画とは何か
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%A9%E3%83%BC

(英語:horror)恐怖。
転じて、映画や小説などの娯楽作品で、観る者が恐怖感を味わって楽しむことを想定して制作されているものをさす。

観る者が恐怖感を味わって楽しむことを想定して制作されているもの
ゾンビやスプラッターはまず視覚に怖い
ゾンビはなんか気持ち悪いし血を見て喜ぶ人間はそうそういない
血を見慣れていて、噴出す血を見ても何も感じない人間も職業的なものを除けばそうはいないだろう
霊的なものも怖いんだろう、多分 漏れは霊的なものに怖さを感じないので心霊ホラーは楽しめないんだが
結局、非日常で気味の悪いもの、得体の知れないものがホラー映画の怖さなんだと思う
思う、とは言ってみたがそれは視覚のみから得られる怖さであって、
怖さの本質は別のところにある
音楽も場を盛り上げるスパイスとしては大事だ
音楽によるおどろおどろしい雰囲気の演出はホラー映画にはかかせない
しかしなんと言っても一番大事な怖さ、それは精神的なものだ
いくらゾンビが大群でフレッシュな脳みそをすすろうが、おばけがテレビから這い出してこようが
そんなこと現実には起こりえない
だから笑って観ていられる 観ながら勃起もする
本当に怖いホラー映画、それは精神錯乱物だと断言する
個人的にはキチガイホラーと呼んでいるが「シャイニング」や「SAW」あたりが本当に怖くてお気に入り
人間の精神なんて脆弱なもので極限状況下では簡単に自我なんてものは吹っ飛ぶ
おかげさまで平々凡々な人生を歩んでいるので漏れ自身極限状態に陥ったことはないんだが
例えば昨日まで普通に暮らしていた家族が、お隣さんが急にキチガったら、刃物を振り回し始めたら
ありえない話でもない
ペットセメタリーはそんな精神錯乱物だ
最愛の息子を自分の不注意によって事故で亡くす
まだよちよち歩きで言葉もようやく覚え始めた感じだから享年1-2歳だろう
その悲しみ、自己嫌悪、その他諸々の感情は筆舌に尽くしがたい
そして精神崩壊
父親は事故以前に、死者を蘇らせる土地の存在を近所に住む老人に教えられていた
そんなものありえないが死者が蘇るのが怖いポイントではないので気にしない 映画だし
そして実際に娘の飼い猫をその土地で蘇らせていた かわいい猫が事故死したことを知らない娘を悲しませないために
しかし蘇った猫は凶暴化していた 父親はその猫に頬を引っかかれることもあった
その土地で蘇ったモノは凶暴化する そんな認識はあったはずだったし、その場所を教えてくれた老人からもそのような話は聴かされていた
だが父親の精神は壊れている 息子を蘇らせようとその土地へ赴く
唯只、最愛の息子を取り戻したかっただけかもしれない 自分のせいで死んでしまった息子を蘇らせて罪の意識から逃れたかったのかもしれない
そして蘇る息子
やっぱり凶暴化していた しかも知能も身体能力もブーストされて
医師である父親の鞄からメスを取り出し殺戮
被害者は近所の老人と母親の2名のみ
殺害人数や噴出す血の量は大したことない そんな恐怖描写はこの映画にはいらない
父親は息子を蘇らせるときに、もし凶暴化したならばこの手で殺すと決めていた
殺すと言っても最愛の息子を刃物で切り刻むのには抵抗があるようで
武器は医者らしく薬品と注射 薬品がなんなのかわからなかったが直接殺害たらしめる毒薬ではなく筋弛緩剤か?
あとに家ごと燃やす描写があったのでおそらくそうだろう
瀕死になりながらも勝利する父親
息子に殺されて終わっちゃうのかと思った漏れが甘かった
そして動かなくなった息子に、家にガソリンを撒いて放火
ここでハッピーエンドかと思ったが
愛する妻の遺体を抱きかかえる夫
その遺体どうすんの?
えぇえぇえ(;´Д`)そうか こりゃ一本とられた 笑みがこぼれてしまった
真っ当な精神状態ではなかったんだ
息子は事故死で葬儀も終わって埋葬したあとで墓を掘り起こして蘇らせた
妻は死んだばかりなので今度はきっとうまくいく
うまくいく
そして蘇る妻
死んだばかりのわりに目からゾンビっぽい液体が漏れる
抱き合う二人
テーブルの上に無造作に置かれている包丁
暗転
悲鳴
おそらく、この映画を観たあと多くの人はなんだか暗い気持ちになるんだろう
だが漏れの心は晴れ渡っていた
すごく楽しい気分になっていた
なので評価は☆☆☆☆
重ねて言うがこの映画は死人が生き返るのが怖いのではない
生き返った死人が殺戮を行うのが怖いのではない 血が怖いのではない
狂気こそが怖いのだ
ところでPET SEMATARYという綴り
作中でも綴りが違うけどねというセリフがあったんだが何を意味しているのだろうか
ペットの墓地なら正しくはpet cemeteryなんだろうが